前回の続きです。
機械を組むまでは多分誰でもできると思います。さて、実際にプラスチック製品を量産するには型が必要なのですが、まず自分が試したのが光造形式3Dプリンター(anycubic photon)による樹脂型でした。
この時私には型の知識はほとんどなく、バイクの改造をやっていた時代の脳内流体力学(笑)を頼りに「なんとなくこんな感じじゃないの」といった感じでやっていました。
どうも普通のレジンでは強度と耐熱性に不足があるらしく、SirayaTech Blu(タフレジン)を購入し、とりあえずもともと切削加工用に作ってあったデータを型にして射出してみました。
とりあえずうまくいったのですが、タフレジンでも何度か射出すると、てこの原理による圧力と、200度を超える高温でことごとく型が割れ使い物になりません。樹脂型を金属のハウジングに収めるソリューションの実装も考えたのですが、より確実で手間のかからない別の方法を試しました。
個人用の射出成型機では国産唯一無二であるオリジナルマインドさんの手動射出成型機INARIではこの問題を、シリンダーを固定にして、型を抑える力と、射出時の圧力が分離された構造になっています。なるほど。。その構造のことは知っていたのですが実際にやってみないとわからないこともあります。。。
そこでうちのバスター君もシリンダーをZ軸方向には動かないよう固定しました。ホームセンターで軸を延長するためのステンレスパイプを購入し、さらに型を抑える方をラボジャッキを設置して昇降型に改造。これのおかげで型への負担が減り、作業効率も格段に上がりました。
ラボジャッキ ステンレスミニ昇降台 約1200円(Amazon)
それでもやっぱり型が破損すると、時間と精神と心が破損します。なので、DMM.makeにてチタンで出力しました。正直安くはないです。数万円しました。しかし、貴重な休日を数日無駄にすることを考えたら安いもんです。(といいきかせて清水の舞台から飛び降りる覚悟で発注)
結果は上々。様々な犠牲(お金)を払い量産力を手に入れました。射出したものはベグレリというスキルトイで、一部の愛好家が嗜む趣味のものなので、需要があまり無く商売にはなりませんが満足です。
たまにTwitterで「射出成型」とかを検索することがあります。当然射出成型ガチプロの方も沢山いらっしゃるのですが、中には趣味のものを量産したいという方もかなり居ます。大抵、型代についての話題になりス~っと話題が終わってしまう。「僕自分で作りましたよ!」とFF外から声をかける勇気もなく、このブログを書くことにしました。特に型を金属焼結3Dプリンターで外注したという話がネット上になかったので、誰かの役に立てば幸いです。
需要を測るための試作に一家に一台あってもいい「人力射出成型機」のお話でした。
作りたいと思った方は人力射出成型機を自作した話【1】をご覧ください